Coucou ! ほたです。
朝や夜に涼しい風が吹いて、すっかり秋になりました。今日は秋の詩を一つ勉強。
タイトルもまさしく Chanson d’automne「秋の歌」作詩は1844年生まれのフランス人詩人、Paul Verlaine(ポール・ヴェルレーヌ)です。
いいなと思った朗読動画とシャンソン動画貼っておきます。
シャンソンver.は詩のイメージより明るい印象ですが耳に優しく癒されます。
詩原文
Chanson d’automne
Les sanglots longs
Des violons
De l’automne
Blessent mon cœur
D’une langueur
Monotone.Tout suffocant
Et blême, quand
Sonne l’heure,
Je me souviens
Des jours anciens
Et je pleure;Et je m’en vais
Au vent mauvais
Qui m’emporte
Deçà, delà,
Pareil à la
Feuille morte.
引用:wikipedia
試訳
※私の試訳です、あしからず
秋の歌
秋のバイオリンのすすり泣く音色が
色を無くしたやるせない私の心を傷つける
時が過ぎて、全ては息苦しく青白く、
私は在りし日の思い出をしのぶ
そして私は泣き、立ち去り、
私をあちらこちらに煽る意地悪い風に、
まるで枯葉のように
単語メモ
sanglot(m)すすり泣き
langueur(m)やるせなさ、意気消沈
suffocant 息苦しくさせる
blême 青白い
se souvenir des jours anciens 昔をしのぶ
s’en aller 立ち去る
emporter 持って行く;吹き飛ばす
deçà, delà あちこち(古い文章語)
feuille morte(f)枯葉
考察
まず韻を踏んでいるのは下の5箇所。
longs と violons
coeur と langueur
souviens と anciens
vais と mauvais
m’emporte と morte
この詩は1867年、ヴェルレーヌが23歳の時に出版した最初の詩集 Poèmes saturniens「サテュルニアン詩集」の中の一つです。
日本では上田敏という方の詩集の中で「落葉(らくよう)」のタイトルで訳詩されています。
そちらも読んでみるとかなり昔の言葉で書かれていてまるで和歌!訳詩って面白い。
こちらのサイトに載っています。http://www.midnightpress.co.jp/poem/2008/03/post_34.html
特にバイオリンを「ヸオロン」と訳しているのが印象的でした。
逆にこの訳詩の方が内容理解が難しいくらいで、原文の方が言い回しが直接的でシンプルです。
時間が経っても消えない悲しさや虚しさが、音楽などを聞くと蘇り時に更に傷が深くなることがあります。この詩の語り手の場合はそれがバイオリンの音色のようですね。
気持ちがさまよう自分を風に舞う枯葉と重ねています。
この詩集を出版したのが23歳頃ということですが、てっきり晩年の詩かと思ってしまうような哀愁。私、23歳当時こんな気持ちを感じたことない…(笑)
バイオリンと枯葉を効果的に登場させることで、ただ辛いだけの詩ではなく物悲しくも美しい秋の哀愁を感じる詩だと思いました。
ポール・ヴェルレーヌについて
ヴェルレーヌは全く気が休まる時がないような壮絶な人生を送りました。ただその中でも詩は全部で約540篇と本当に絶え間なく書いています。
私が調べて理解した彼の人生を簡潔にさらっと紹介します。詳しくはWikipediaをどうぞ。
【26歳で18歳の美少女と結婚し、翌年に長男誕生。同じ年、奥さんに乱暴を繰り返して絶縁状を書き、同じく詩人のランボーと同棲、放浪の旅へ。
しかし口論となったランボーを拳銃で二発撃ち(致命傷ではない)2年間収監される。
31歳でイギリスの中学校の先生になるが生徒(美少年)に惚れて仕事をおろされる。
しかしその少年と共にフランスに帰国、39歳でその少年が亡くなり、故郷で放浪の日を送る。
泥酔して母の首を絞め、また収監。
41歳で無一文になり、母は亡くなり、以降住まいを転々とし情夫になる。
色々あった娼婦と最後は同棲し、51歳で看取られ死去。】
とんでもなく波乱万丈人生。こんな人生だからこそ書けるものがあるのでしょうが、これが私の人生だとしたらとてもじゃないけど詩を書いてる気分ではありません。
ヴェルレーヌの人生=詩だったのかな。私のフランス語もそんな人生のお供であってほしいです。
秋に読む少し物悲しい詩、良いですね。
A bientôt !
コメント