Coucou ! ほたです。
前回はスイーツ開拓の話をしました。
2回目は私のパリでいちおしスポットの映画博物館(シネマテーク・フランセーズ)を紹介します。何より人が少なく、ちょっとディープで面白い場所です。
去年から映像翻訳の勉強をしているので何か学べればということで予定に入れていましたが、近所に住むフランス人も知らないくらいあまり知名度が高くありません。
早速レポートしていきます!
概要
シネマテーク・フランセーズ(La Cinémathèque française)は、映画博物館、映画関連の図書館、書店、映画館、その他色んなアクティビティを行っている施設です。
料金:
大人10ユーロ
25歳以下は7.50ユーロ
アクセス:
12区ベルシー地区のベルシー公園前にひっそりとあります。
博物館見学レポート
エアビー先が近くだったので夕方17時ぐらいに徒歩で行きました。平日この時間の博物館はほぼ貸切状態!
博物館の展示は GEORGES MÉLIÈS ET L’ART TROMPEUR
このジョルジュ=メリエス(Maries-Georges-Jean Melie)とは、パリ出身の元マジシャンでなんと世界初の映画監督!それまでフィクションや物語性のある映画を作る人はいませんでした。(※リュミエール兄弟については後述)
さらに、特殊撮影を生み出した人物でもあります。
trompeurとは「嘘の、見せかけの」という意味で、メリエスはまるでマジックのように独創的で革新的な映画技法を生み出したのです。
まさに今の映画産業を創った一人ですよ。スティーヴン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロンたちも彼の後継だと言われています。知らなかった〜!
ここではそんな映画技術誕生の歴史を体験的に学ぶことが出来ます。
530以上も作品を作ったメリエスの代表作が1902年の Le Voyage dans la lune(月世界旅行)。長さは15分程度。
SF映画の最初、そして映画史上最も影響力のある映画の一つと言われています。
Youtubeでも見られます。(本来サイレント映画ですがこれは後から音楽を入れています)
100年以上前にこんなにしっかりとした映画が!あらゆる夢が詰まっています。
エジソンの作ったキネトスコープ
kinétoscope(キネトスコープ)とは覗き眼鏡式の写真機械です。映写機はなくこの機械から直接のぞきます。
The execution of Mary, Queen of Scots(メアリ王女の処刑)という1895年の短編映画が見れました。映画というより、本当に首が落とされ処刑されるだけの22秒の映像。
1895年にリュミエール兄弟の発明したシネマトグラフ見本
cinématographe(シネマトグラフ)とは映写機のことです。この機械がカメラ、焼付け機、映写機を兼ねています。エジソンのキネトスコープから着想を得て多くの人が映像を楽しめるように改良したもの。
初めてのパリでの映画お披露目にメリエスも招待されたそうです。
その時のメリエスが可愛くて« Nous restâmes tous bouche bée, frappés de stupeur ».「私たちは開いた口が塞がらないほど衝撃を受けた」と。そしてどうしてもこの機械を買いたかった。でもリュミエール兄弟のお父さんに拒否されたと書いてありました…(笑)
リュミエール兄弟の世界初のサイレント映画 L’Arroseur arros(水をかけられた散水夫)も流れていました。
これまではただ日常の風景を撮っただけのものでしたが、これが世界で初めて演出されたものを撮った映画です。
その時の盛り上がる聴衆を描いたイラスト
隣には Le cinéma est muet, mais quel bruit devait-il y avoir dans la salle !「映画は無声だが、劇場内はどれだけ盛り上がったことでしょう!」と書かれています。
パリで一番の目的だったシネマテークフランセーズ!ほぼ貸切!
世界初の映画監督、しかも特殊撮影の創始者ジョルジュ・メリエスの博物館が面白かった✨
貸切でシュールな無音映画がずっと流れてる空間かなり異質だった(笑) pic.twitter.com/YRvleXQite— ほた (@hotatefrancaise) February 17, 2024
一枚目はメリエスのサイレント映画が流れ続ける異空間…
ジャック・ドゥミ監督、カトリック・ドヌーヴ主演の Peau d’Âne「ロバと王女」のポスターや特殊撮影技術の裏側を学べるコーナー、映画の出現の起源とも言える装置で手動で回転させるpraxinoscope(プラキシノスコープ)。
他にもメリエスの映画で使われた衣装やスタジオの模型、VRメガネなんかがありました。
最後まで展示を見て、メリエスがすごく面白い人だと気付きました…!
作っている映画はシュールで不思議でユーモアに満ちていて、いつもどこかマジシャン味がある。映画の分野を本当に娯楽にしたのはこの人だと思います。永遠の少年のような純粋さも感じるし、そして何より熱意の人。他の作品も見なければ。
Google Arts & Culture でもっと詳しくメリエスについて見られます!楽しい…!
さて、博物館以外に映画関連のあらゆる本がある図書館も併設されています。
こちらは博物館のチケットだけで入場無料。数席あるテーブルは勉強をしている学生さんのような人で埋まってました。
壁には日本映画のポスターがたくさん!何かのテーマがあるのかな。
最後にDVDや映画関連の本が買えるショップものぞきました。映画館に貼ってるような大型ポスターが15ユーロで色々あって結構お買得!
外に出る頃にはすっかり日が暮れ、ベルシー公園は幻想的な雰囲気になっていました。
ミッシェル・オスロの影絵の世界みたい
メリーゴーランドまでメルヘン
帰りは街明かりに照らされたセーヌ川を見ながら橋を渡って帰宅。
この日は朝にオルセー美術館に行ったのですが、実は個人的にオルセーより楽しくて面白くて大満足でした。
映画通の方にはたまらないでしょうね。映画も見て帰れるし。ちょっと王道コースから外れた体験がしたいという方にはとてもおすすめです。
A bientôt !
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