Coucou ! ほたです。
『Emily in Paris(エミリー、パリへ行く)』について現地取材した Le Parisien の動画が面白かったので共有します。
詳しい内容は後で解説。
タイトルが ≪La série “Emily in Paris” trop cliché ? “On a effacé la vraie ville pour préserver le fantasme»。「ドラマ『エミリー、パリへ行く』は陳腐すぎ?パリの幻想的なイメージ保護の為に街のリアルを消した」。
キーワードは cliché。型にはまった表現や考えを指します。
例えば「フランス人男性はいつでもロマンチックに愛の言葉をささやいてくれて、パリの街ではみんなモデルのようにオシャレで、仕事はあまりしないでワインを飲んで優雅に暮らしてる」みたいなことで、この単語は「ステレオタイプ」のように軽蔑的なニュアンスで使うことが多いです。
Emily in Parisとは?
『Emily in Paris(エミリー、パリへ行く)』は2020年にNetflixで公開されたアメリカのコメディドラマシリーズ。今はシーズン3まで公開されていて全30話になります。
原作・制作は Darren Star(ダーレン・スター)、出演は Lily Collins(リリー・コリンズ)。
パリのマーケティング会社で働くことになったシカゴ出身のエミリーが、アメリカとフランスの文化の違いに戸惑い奮闘しながらもパリで人生を築いていくストーリーです。
日本でも人気があるシリーズですね。ですがこのドラマにパリジャン達は苛ついているそう。
内容要約(Le Parisien より)
最初の男性は「一体どのパリで撮影したの?パリに住んでるけど違う街だよ」と。
そして14年パリに住んでいるアメリカ人ジャーナリスト女性がこのドラマを実際に観て、パリジャンが感じている cliché の正体を解説してくれました。
最初から「バカげてる!想像してたより最悪!」と強い反応を示しているところを見ると、そんなに?とも思いますが…
以下、ざっくりインタビュー部分を要約します。
エミリーが借りた部屋は既に chambre de bonne(昔使用人に使われていたメイド部屋)ではない。20へーべーはあるように見えるし、どっちかと言うと Studio(ワンルームマンション)。
彼女の生活にも全く現実感がない。
地下鉄にも一切乗らないし、本当に限られた生活圏内から出てない。
ドラマが現実的じゃないからってことではなくて、多少美化するのは理解できるが、少なくとも、最低限パリがパリたる部分を見せるべき。感じが良くて、ダイナミックで、変化に富んでて、面白い本当のパリの街を。
Vieux Paris(パリの歴史的中心部)だけじゃなくて。garder quelques poubelles (ゴミ箱も残しておかなければ = キレイじゃない部分も描写しなさいよということかな?)
ドラマでは不自然なほどほとんど車はいないけど、バスティーユ広場は実際すごく車でいっぱい。
自転車に乗った人々とか、ヘルメットやマスクをした人とか、色んな服装の人がいる。ヒールで歩いてる人なんていない。
地面にはゴミだって落ちてるし、みんなが望むような完璧な街じゃない。
まるで幻想を守るためだけに街のリアルな部分は全部無視してるみたい。
現実の世界だって carte postale (ポストカードの世界=映画やドラマの中の世界)と同じくらい夢があるものなのに、なぜその部分を隠さなくてはいけないのか?
面白い部分は一部フランス語で残しました。
彼女の話している部分は全部フランス語字幕があるし、話すスピードもそこまで早くないのでじっくりビデオを見てみるといい勉強になりそう。
さて、結構エミリーがフランス人の間で「おめでたくて馬鹿げているドラマ」というのは耳にします。
私の好きなフランス語学習サイト coucou ! のレッスン92でもこれをテーマにしたディアログが。(今は会員登録が必要になりました)無料で面白いのでこちらも良かったら見てください。
ドラマを c’est tellement niais. (本当にくだらない)と嘲笑的なニュアンスで表現しています。
現実のシリアスな部分を映していないくせに下品な部分だけ面白おかしく強調されていて、それがパリジャンからすると良い気がしないのかもしれません。
キレイじゃない部分も含めてみんな自分たちの街に誇りがありますもんね。
私は美化されたフランスの「いかにも」みたいなのが結構好きで見てるんですが、この世界を信じてフランスに行くとカルチャーショックにはなりそうです。
こういう動画で勉強する機会をもっと増やしていきたいです。
A bientôt !
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